映画「永い言い訳」に学ぶ、男の喜ぶ「さしすせそ」とダイバーシティの実践に関する考察
今週末は衣替えも含めた部屋の片付けがあったので、作業中見れる映画をアマゾンプライムで物色。
前から見たかった映画「永い言い訳」を見た。
落ち目の小説家(もっくん)が妻(深津絵里)を交通事故で失うという話。
それも浮気相手との情事中に。
浮気の理由は大成する前と態度を変えない妻が気に食わないから。
若い子(黒木華)と密会、浮気し、わかりやすい賞賛と尊敬の言葉でプライドを保っている。
妻役の深津絵里は早々に死んでしまうのだが、偏屈な夫に寄り添う、妻の愛がものすごく伝わってくるが、主人公のもっくんはちょっと後悔している封ではあるが、結構淡々としている、悲しみの感情があまりわかないし、悲しみ方がわからない。
普通に考えると結構イヤな感じの話だ。
が、この主人公(もっくん)は基本いい人なので、不思議とムカつかない。
妻と一緒に旅行していた親友の遺族の子どもたちのお世話をなんとなくしてしまう。
親友遺族と主人公の不思議な関係がとてもおもしろい。
ストーリーの大半はこの家族との交流を描いている。
家族ではないけれど、彼らをとても大切な存在になっていく過程が描かれる。
こんなことなら奥さんを大事にしてあげればよかったのに、と思ってしまうようなほど彼らのことを大事にする。
妻の親友一家は、(夫にとっては)妻を、(子どもたちにとっては)母を失ったことに伴う悲しみや生活環境の悪化、(忙しすぎるため)父不在の家庭における子供と父の関係性の悪化などをあるが、最後はきちんと家族の絆を取り戻し、なんかほっこり終わる。
で、主人公もこのとの交流を通して、妻との関係を見直し?、小説を書き上げる。
ただ、最後まで妻の死についてちゃんと泣くこともない。
結局は小説のネタにしてしまうエゴとプライド、弱くて、悲しくてやさしい男の話だったようにも思える。
愛してくれても、わかりやすく尊敬してくれない妻のことをうまく愛することはできなかったのだろう。
男が喜ぶさしすせそ(「さ」=「さすがですね!」、「し」=「知らなかった!」、「す」=「すごい!」、「せ」=「センスいい!」、「そ」=「そうなんですか!」)というのは本当なんだなと思ってしまいました。
私もここのところ(「さしすせそ」的精神)が、足りないので、やったほうがいいのかな!?
男と女は脳みそが違うのだから、それを知った上で、イヤじゃない範囲で喜ぶことをしてあげる、歩み寄ることも必要なのかもしれないなぁと思いました。
対等な男女の愛ってやはり存在しないのかな!?
という疑問も浮かび上がってきますが、さりげなく「さしすせそ」を実践することで、パートナーにいろいろやってあげようと思うし、好意を持つことにもつながるので、結果的に実際のパワーバランスという意味では、対等もしくは主導権を握れるのかもしれません。
男女にかかわらず、口先では「多様性を尊重する」とスローガンみたいについついいってしまいますが、具体的にはどういうことをするんだろう?と思うことがあります。
「多様性」とは相手の意見を聞くだけでなく、相手の価値観に寄り添うことができることなのかもしれないなぁと思いました。
映画全体がぜんぜん湿っぽくないし、それでいて深いテーマで本当におもしろいのでおすすめです。
ちなみにもう一本見た「君はいい子」も尾野真千子が子供を虐待するというなかなかにショッキングで気になっていた映画ですが、さほどおもしろくなく、がっかりしました。笑